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欧米リスクと日本の単独介入制限

先週5日にはS&Pが米国のソブリン格付けを「AAA」から「AA+」へ引き下げた(見通しネガティブ)。米長期格付けの引き下げは今回が初めとなるが、S&Pは当初から警告を発していたためサプライズではない。またユーロ圏でも、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が、イタリアとスペインの国債の購入を開始した。全てのユーロ圏政府に対して、ユーロ圏高債務国の救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に流通市場での国債購入を認める措置を含めて、7月21日の首脳会議における合意を遂行するよう求めた。ただ、ドイツ政府はEFSFの規模拡大には首脳会議で合意していないとして、反対姿勢を示している。

 

それでも一向に円高は収まりを見せない。円高要因は日本から発せられたものではなく、世界的な景気減速懸念や欧米の財政難によるソブリンリスクと、米国の緩和期待(QE3)が、投資家のリスク回避姿勢を強めていることから、逃避需要により円高が進んでおり、以上の原因が円高要因であり解決して行かない限り、暫く円高が続くことになろう。また先週末に重要度の高い米雇用統計が発表され、予想を上回る強い結果となったが、株価は依然として弱くドル円相場も軟調な展開が継続していることから円高傾向は強いと考えていた方がいい。

 

特に、FRBによる追加緩和期待(QE3)が、米長期金利を低下させることから、ドルの上昇を限定させてしまう可能性がある。米国が格下げされた事や欧州情勢の不安定さと相俟って市場参加者のリスク回避志向を強め、結果的に円やスイスフランがさらに強くなってしまう可能性がある点には注意が必要である。

 

ECBがスペインとイタリアの国債を購入しているが、欧州の状況は依然極めて不安定である。両国の金利上昇に改善が見られたが、一向に株安が収まる気配がない。引き続き欧州の債券市場(特にイタリア、スペイン)の動向と、それが世界の株式市場に与える影響に注目する必要があろう。世界的な株価下落に繋がる流れが続くのであれば、投資家のリスク回避姿勢を背景に、円やスイスフランが強含む。また一方で、世界最大の純対外債権国である日本に資本が戻ることになるため、円の更なる上昇は避けられないと考えている。もちろん、欧州のソブリン危機の終焉が何時になるのか見当が付かない現状では、ユーロの上値も重い状況が続くと考えている。

 

G7財務相・中央銀行総裁会議において、「G7各国は世界経済や金融安定へ緊密に連絡し、必要な場合は流動性の確保や為替市場の安定へ協調行動を取ること」を確認した。野田財務相が米国債への信認を確認し、米国債投資継続を示唆する代わりに介入への理解を求めたが、先週の日本の単独介入に対し、欧米ともに慎重な姿勢(否定的)を見せており、日本の単独介入に対し釘を刺されたとの見方もある。株下落とドル円相場で史上最安値76円25銭を下抜けするような円高が進んだ場合、日本政府が再び円売り介入に踏み切ることができるかが注目される。

 

最後に、日本時間10日(03:15)には米FOMCの結果が公表される。通常よりも注目度がアップしているため、更なる注意が必要と思われる。

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